ことばの呼吸

わたしたちはしばしば、「呼吸があう/あわない」というふうに表現することがあります。
会話のなかで呼吸があわないとき、ひとは相手のことばじりに敏感になります。ことばを確実にとらえようとして、ことばの意味に拘泥してしまうのです。
ことばは表現されていることのひとつの局面にすぎず、決してそれが全てではないのですが、聴くほうは語られたことばへと注意を惹き付けられ、視野が狭くなっていきます。

相手が語ることば、聴き手の受け答えとともにゆらゆら揺らぎ、つまずき、ころがりもするその不安定なことばが、一本の連続的な線でいらば論理的に、一義的につながれてしまいます。このようにして、ことばの受けとりかたが、相手の語りから免れてゆくのです。

そして、ますます呼吸があわなくなってしまう。いったん、そういうふうに呼吸がギクシャクしてくると、それを修復するのはとても難しいものになります。

ことばのやりとりにおける呼吸とは、時間的なもののようです。時間的な意味での<間>が、どういう膨らみをもっているか。どういうあそびやすきまをもっているのかが問題となります。これについては、精神科医の木村敏先生が「タイミング」の問題として、「偶然性の精神病理」のなかで取り上げていますので、引用します。(「聴く」ことの力―臨床哲学試論【鷲田清一著】からの引用の引用です。)

「父との関係がうまくいかない。父と衝突するとかならず調子が悪くなる。・・・・・タイミングがうまくとれない。父にタイミングを狂わされる。父にタイミングで負けている。すこしでも間があくとつけこまれる。人として話していても間がもてなくて、全体の雰囲気よりも早めに出てしまう。いつもフライングをしている感じで、リズミカルに行かない。自分がキープできない。間が持てないから、行動がスムーズに行かない。家で両親に対してだまっていた方がいいのかしゃべった方がいいのかわからない。しゃべろうとするときフッとそれを抑えるので、そのうちに話題が変わってしまってタイミングがずれる。
タメがないから加速度的に早くなって、パッパッと出ていく。待っていると苦しい。あせるというより、ふわっと出てしまう。自分の中で満たされないうちに出ていく。フライングみたい。全体の状況がつかめないからパッと出てしまう。」




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